書くなら1冊目はこれがいいかなあと思う。

20年以上前、テレビでちょっとした再現の映像を交えて
この本が取り上げられていたのを観て、

その話が印象に残って忘れられず、数年後に、
どうしても原作が読みたくなって

図書館で調べてみよう

と行ったものの、題名も著者も分からず
途方にくれて
そばにいた若い図書館員さんに声をかけてみた。


テレビで観たんですけども
これこれこういう話の本があるはずなんですが、
ご存じないでしょうか。とダメ元で聞いてみたら


その番組、私も観ました





しばらく探してくれて、見つかりました。


何年も前やで 


ネットもまだそんなになかったし。

たぶん、マニアックな趣味が合う人を見つけた瞬間とは
こういう感じなのだなと今は思う。




シベリア抑留されていた方々の実話。


極寒でわずかな黒パンのみで過酷な労働を強いられ
精神的にも追い詰められて
どんどん死者が出ていく中、

真面目すぎるほどに真面目な青年が
まわりと助け合って生き延びようとするけれど
叶わず、遺書を残して亡くなる。

厳しい環境の中、遺書を持ち帰ることなど
到底無理で、数人が分担して暗記し、
いつか遺族に伝えようと決意する。

自身も生きて帰国できる望みなどない中、
時間をかけて暗記し、

やがて帰国できた後、時間はかかったものの
それぞれが青年の奥さんのもとへ
伝えに訪れる。






あまりに過酷な抑留生活を知り、

前だったか後だったかは忘れたけれど

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を
読んだ時にも出ていた抑留者の壮絶な環境に

その後の自分の世界観が少し変わったような気がする。






あと、そんな環境の中で抑留者たちが建設した
オペラハウス「ナボイ劇場」は
丁寧な建築、装飾で、大地震にも耐え、
地元の人たちから今でも感謝されているというのを
知った時も、涙が止まらなくなってしまった。







そうやって本に泣きながら
自分は抑留もなく、人殺しを強要されることもなく
あったかい洋服と家、食べ物に囲まれ、
昔に思いを馳せる。
たぶん到底理解などできていない。


そして本当に抑留された方々が
堅く口を閉ざして多くを語らないというところに、
もっと本当の厳しさがあるのではないかという気がする。


人はやっぱりその場に身を置かれないと
本当のところは分からない。


分かったようなことは言うまい、


と思う。






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